族長の秋

権力の象徴である大統領の狂気と孤独の物語。とにかく多くの言葉を用い、喜劇のような表現とテンポで物語っていくが、とてもグロテスクな小説だった。

入り組んだ時系列や、本質的に循環的な各エピソード、「海」、「星」、「牛」、「ハゲタカ」など物語のテーマである権力と孤独を象徴するものを随所で執拗に繰り返し登場させることで、権力を持った者とそれを奪おうとする者達の争いが古来からずっと変わっていないことを表現しているように感じた。

族長の秋 (ラテンアメリカの文学) (集英社文庫)

族長の秋 (ラテンアメリカの文学) (集英社文庫)