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族長の秋

権力の象徴である大統領の狂気と孤独の物語。とにかく多くの言葉を用い、喜劇のような表現とテンポで物語っていくが、とてもグロテスクな小説だった。入り組んだ時系列や、本質的に循環的な各エピソード、「海」、「星」、「牛」、「ハゲタカ」など物語のテ…

砂の本

伝奇集と同様に時系列や概念の扱い方が幾何学的というか数学的で面白い作品が多い。「他者」は循環して交差しているし、表題の「砂の本」は拡散していく感じ。「会議」は射影的か。全然話が変わるが「汚辱の世界史」は山田風太郎の「人間臨終図巻」シリーズ…

予告された殺人の記録

テーマを今ひとつ掴むことができない。「百年の孤独」も含めてマルケスの作品はテーマをあやふやにしか掴めた気がしない。修行が足りませんね。直接手を下した犯人はいるが、実質上は(アンヘラも含めて)町の住民全員が犯した殺人というように読み取れた。…

百年の孤独

数え切れないほどの短編のストーリーを淡々と織り重ねて、辺境の地に住む一族の面々の孤独が描き出されていく不思議な形態の小説だった。一族の面々が孤独な理由は決定的な人格上の欠陥であったり、抗いようのない運命的なものであったりと各々異なる。つま…

キャズム

マネジメントについての本をちゃんと読んだのはこれが初めて。市場をセグメントで分けるとかユーザのコミュニティを押さえろとか成る程なあと思うこと多々あった。が、大前提としているテッキーを満足させる事ができるような製品を作るところが一番大変そう…

エンジニアとしての生き方

ブログのまとめなのでテーマは多岐にわたっている。印象に残ったのは仕事はレベルが高くて厳しい環境の中で楽しんでやった方がよいということ。全く同意。これを読んだら色々チャレンジしたくなった。エンジニアとしての生き方 IT技術者たちよ、世界へ出よう…

続・日本人の英語

続編も図書館から借りて読んだ。コンセプトは前作と同じ。著者が日本語の詩や俳句を英語に訳すとニュアンスが伝わらないことが多いという一文を読み、外人と話すときに日本語の言い回しがうまく英語にできなくてもどかしくなるのは当然で、そもそもそのアプ…

日本人の英語

冠詞、前置詞、時制など日本人が躓きやすいポイントを理屈とニュアンスの面から説明している。日本語でもそうなのだろうが「ある程度の理屈」と「ニュアンス」を押さえることが小慣れた英語を使えるようになるためのポイントなんだろう。日本人の英語 (岩波…

日本語作文術

仕事や日常で相手に伝わる文章が作れるようになることを目的にした本。なので学校であまり使わないよう教えられた『オノマトペ』も伝わるのなら積極的に使いなさいというスタンスになっている。構成は以下のようになっている 文章の作り方 各段落の作り方 段…

超ヤバイ経済学

テーマに対する切り口は前作同様に目を洗われるものが多かった。さらにテーマの選定が前回より魅力的だった。特に温暖化に関するくだりや、終盤の猿に通貨の価値を覚えさせた実験などは秀逸。超ヤバい経済学作者: スティーヴン・D・レヴィット,スティーヴン…

読書について

という邦題になっていますが主題は 自分で考えることが大事。自分で考えた知識が最も役に立つ値打ちものになる。 翻って、本を書くなら自分で考え抜いたことを厳密な、そして自分の言葉で書け! 現代の(といっても1800年代のドイツ)新刊には悪書が多い、時…

考える技術・書く技術

相手に自分の言いたいことを正しく伝えるために自分の考えを整理し、チェックするフレームワークである『ピラミッド原理』についての本。巷でいうロジカルシンキングとやらはこいつが出元の模様です。構成は次のような4部構成になっている。 フレームワーク…

本を読む本

本を読む本 (講談社学術文庫)作者: J・モーティマー・アドラー,V・チャールズ・ドーレン,外山滋比古,槇未知子出版社/メーカー: 講談社発売日: 1997/10/09メディア: 文庫購入: 66人 クリック: 447回この商品を含むブログ (322件) を見る本を効率よく理解し、…

人生画力対決2巻

相変わらずの内容で読み応えたっぷりです。個人的には若杉公徳と吉田戦車の回が面白かった。西原理恵子の人生画力対決 2 (コミックス単行本)作者: 西原理恵子出版社/メーカー: 小学館発売日: 2010/09/13メディア: 単行本購入: 9人 クリック: 82回この商品を…

マッキンゼー式世界最強の問題解決テクニック

世界最強なのかは置いといて、目標と仕事全体の流れを図で見せておいた上で、今どの部分の話をしているのかが自分でも非常に理解しやすい本でした。ちなみにロジカルシンキングに書いてある事は、この本に書かれている思考方法のベースとなる部分です。ロジ…

人を動かす

古典だが故に名著。こういう本を読むと、次々と出てくる本でキャッチフレーズとして使われている言葉の意味は、こういう本に書かれていたことの言い方を変えているだけであったりすることが多いと感じる(それが悪いこととは決して言いません)。人を動かす …

マッキンゼー式図解の技術

自分が求めていた内容とは少し違いましたが、『用途に応じた図をきちんと選べるようになりましょうね』というテーマは分かっているのに失敗しがちなところ。マッキンゼー流図解の技術作者: ジーンゼラズニー,数江良一,菅野誠二,大崎朋子出版社/メーカー: 東…

財務3表一体理解法

企業会計の大枠を掴むのにとても適した内容です。これを読んだ上で簿記を勉強すると全体像を見失わずに細かい部分を理解できるのではないかと。決算書がスラスラわかる 財務3表一体理解法 (朝日新書 44)作者: 國貞克則出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: …

人間臨終図巻2

1巻は50代前半くらいまでに亡くなった著名人のエピソードが多く、時代と平均寿命の関係からか死因も結核や討ち死にが多かったのですが、2巻から60代から70代で亡くなった方の話になり、死因は癌と脳溢血が圧倒的に増えました。それは本書の趣向ではないので…

のぼうの城

テンポがよくて面白い。伏線をいっぱい張っておいて最後にスパッと纏まるので読後にモヤモヤしたものも残りませんでした。映画も出るらしいので公開されたら観に行ってみたいです。のぼうの城作者: 和田竜出版社/メーカー: 小学館発売日: 2007/11/28メディア…

きみの血を

今回は長編。幼年期の虐待などの体験が精神に与える影響を心理学的に取り入れた、SFというよりはサイコホラーといった内容でしょうか。 時折飛び出す妙な大阪弁と、この微妙なタイトルには若干の違和感を感じましたがテーマは現代でも全く色褪せていないのが…

人間臨終図巻1

古今東西の著名人の臨終をまとめた珍しいコンセプト。後世に名を残すような作品を生み出しても生前に評価されず極貧だった人。発狂した人。様々な死に様がまとめられています。ただ、一つだけ共通しているのは自殺を除くと死に様と死に時は選べないというこ…

道は開ける

50年以上前から人の悩みの原因は大体同じで、対処方法もだいたい同じなんですね。本文でも書いていますが、1度読んで終わりという本ではなく、書いてあることを実践するために手の届く所に置いておく手引き書です。道は開ける 新装版作者: デールカーネギー,…

クリスタルボール

寝てる合間で読みました。おなじみゴールドラット博士の最新刊。小売りの店舗-倉庫-サプライヤー間の商品の補充をリードタイムの面から最適化し、品切れを減らす方法と効果について小説仕立てで説明するという内容。内容自体は「ザ・チョイス」にも例が出て…

フリー

読了。細かい所は置いといて、テクノロジーの進歩に伴い価値(=希少性)のあるものは変化し続けるという点には納得。固定観念はやはり自らを滅ぼすのですね。フリー 〈無料〉からお金を生みだす新戦略作者: クリス・アンダーソン,小林弘人,高橋則明出版社/メー…

チャンピオンたちの朝食

著者が50歳を節目として過去に一区切りをつけようとした作品に思えました。チャンピオンたちの朝食 (1984年) (海外SFノヴェルズ)作者: カート・ヴォネガット・ジュニア,浅倉久志出版社/メーカー: 早川書房発売日: 1984/05メディア: ?購入: 1人 クリック: 6回…

テルマエ・ロマエ

古代ローマの浴場の設計技師が現代の日本に一時的にタイムスリップし、そこで観た風呂や温泉の機能を古代ローマに戻り、自分の設計に取り入れて毎回窮地を脱する漫画。という、書いていて既に意味が分からない漫画です。が、面白い。タイムスリップした先に…

人生画力対決

言うなれば漫画でプロレス。福本伸行、とがしやすたか辺りと対決しているときが一番かみ合っている気がします。西原理恵子の人生画力対決 1 (コミックス単行本)作者: 西原理恵子出版社/メーカー: 小学館発売日: 2010/03/17メディア: 単行本購入: 23人 クリッ…

毎日かあさん6

相変わらずオモロイ。毎日かあさん 6 うろうろドサ編作者: 西原理恵子出版社/メーカー: 毎日新聞社発売日: 2010/02/25メディア: 単行本購入: 8人 クリック: 130回この商品を含むブログ (68件) を見る

一角獣・多角獣

シオドア・スタージョンの短編集です。シジジイとかいう基本は一つの遺伝子のコピーで分裂し続け、たまに異なる遺伝子と融合して遺伝子を保つという性質は、単細胞生物の繁殖に見られる性質ですが、人間の社会の中でも見たことがあるような気がしました。全…