本を読む本
- 作者: J・モーティマー・アドラー,V・チャールズ・ドーレン,外山滋比古,槇未知子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1997/10/09
- メディア: 文庫
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読書のレベルを4段階に分け、それぞれの目的と方法を説明しています。
それぞれのレベルの読書法を
- 初級読書:小中学生で覚える読書法。意味の分からない単語を回りの文脈から理解できるレベル。
- 点検読書:本の概要や構成を掴む読書法。
- 分析読書:著者の主題や命題とその論拠を理解し、賛成・反対・中立の意見を持てるレベル。
- シントピカル読書:同一の主題に関する複数の書籍から論点をまとめることができるレベル。
と定義しています。
そして、本を理解するとは以下の4つの質問に答える事だとしています。
- 全体として何に関する本か?
- 何がどのように詳しく述べられているか?
- その本は真実か?またはどの部分が真実か?
- それにはどんな意義があるか?
前述の点検読書、分析読書、シントピカル読書はこれらの質問に答えられるようにするための読書法ということになります。各読書法と4つの質問との関連は以下のようになります。
全体として何に関する本か
要は概要はどうなっていますか?ということでしょう。
点検読書
表題、序文を読む、目次を読む、索引を調べる、カバーの謳い文句を読むといったことを通して、そもそも読むべき本かを見定めます。
分析読書
種類、主題で本を分類する、何の本か概要をまとめる、主要な部分け順序付けて概要をまとめる、提示されている問題をリストアップする等々。
何がどのように詳しく述べられているか
主題は何か?著者が主題について言いたいことは何か?を掴むことでしょう。
点検読書
目次を読む、索引を調べる、カバーの謳い文句を読む、議論の要と思われるいくつかの章をよく読む、ところどころ拾い読みする、さっと読み通す等で答えを探していきます。
分析読書
キーワードを見つける、重要な文から主要な命題を把握する、命題の論証を見つける、または組み立てる、解決された問題と未解決の問題を分ける、未解決の問題は著者に自覚があるか見極める。
その本は真実か、またはどの部分が真実か
著者の結論は正しいかを判断せよと申しています。
分析読書
ここでは正しく批評するための確認方法や取り組む姿勢などを説明しています。
- 概略がつかめ、解釈できたか確認する
- 賛成、反対、判断保留を決める
- 反対の場合は根拠を挙げ、知識と意見を分ける→知識不足、論理がおかしい、分析・説明が不完全など
それにはどんな意義があるか
本から学んだことを何にどう活かしていけるかを問えということ。
分析読書
手法は同上。
シントピカル読書
手順は次の通り
- 点検読書で同一の主題に関する本をまとめる
- 各本から主題に関連する箇所を見つける
- 各本から同じ命辞を示すキーワードを見つける
- 質問を作り、主題に対する各本の命題を纏める
- 各本で、命題が異なる場合は論点を決める
- 主題についての論考を分析する
- 質問と論点を整理し、多角的に理解する
- 一般的な論点を分析し、特殊な論点を分析
- 各論点の関連性を纏める
最初に思うのはこれを全ての本に対して行っていては寿命が100年あっても足りないと言うことでしょう。著者も全ての本に対して実施する必要はないし無理だと述べています。だからこそ、最初の点検読書でじっくり読む本かを見定めるということです。
この本から感じたこと
書く能力にも役立つ
文中にも書いていましたが、こういう読み方をしていくと理解しやすい文章を書く能力を養うのにも非常に役立つのではと思いました。そして、本来は高校生か大学1回生くらいのときに身につけておくべき読書法なのでしょう。
速読術と点検読書の関係性
巷の速読術は最初の2つの質問に対する点検読書に相当する読書術なのかなと思えてきました。
現代への適用
この本が執筆された1940年代よりも桁違いに情報の流通量が増えた現在でも、限界はあるものの自分で情報をフィルタリングし、情報を効率よく理解してまとめていく方法として役に立つのではないかと。